おととい風呂で話題になったことをちょい文章化してみる。

と言うのも、風呂の前にミズナガウブールとマツダのロードスターに試乗に行ったところ、相当良かったらしく、欲しい欲しいと言い始めやがったw

もう一人、風呂に一緒に行ったタクローもまた、ロードスターフリークであった。

その二人に、ロードスターが欲しければ、こんげなのもあるよという話をしたのだ。

 

多くの車がスペース効率と燃費を最も優先する世の中の数勢とは裏腹に、やはりオレは物理的な法則とデザインに重きを置いた車こそ、素晴らしいものだと思っている。

使い慣れた道具のように、自らの意思の通りに動き、それがうまくいった時に大きな喜びになるという狩猟的感動発生原理に忠実だし、自らの美意識を満足させる上、その表現ですらあるからだ。

 

そう言った意味においてロードスターは、なかなかカッコよく、風の匂いを感じながら自由に振り回せるという強力な気持ちよさ発生装置でありながら、2シーターであることに目をつぶれば日常生活においてもなんら不足なく、容易にその人生の豊かさを他人にすら想像させるに十分で、宮崎一台持ち生活においてある意味ベストな選択の一つだろうと思う。

もちろんそれで決定したとしても一切問題はないのだが、面白い選択肢がある。

それは①電動ハードトップで、クローズにするとまるでクーペのようなロードスターRF

②アバルト124スパイダー

いう二台の兄弟車である。

124スパイダーもフィアットがマツダからOEM供給を受けた、プラットフォームや仕組みがまるっきりロードスターと同じ車なのだ。

 

普通のロードスターは車重約1トン、1500cc131馬力なので、軽快で気持ちのいい車ではあるが実はそう速くはない。

ちょっと遅いがまぁこれはこれでと思うくらい。

自分の手足のように動かして楽しむぶんにはそれもいいのだが、①は158馬力の2000ccエンジンなので、もうちょっと余裕がある。

試乗もしていないのであくまで予想に過ぎないが、それはエンジン本体とハードトップの重さで軽快感は若干落ちるが、故に落ち着いた、いい具合の速さじゃないかと思う。

また元々準備されていたかのようなハードトップの新たなもう一つの素敵なデザイン提案は、テーブルに載せて悩ませるに十分な実力も備えている。

例えば渋いレザーの内装を選べばそれは、少し都会的な洗練を持つ、大人っぽい選択だと思う。

②は1400ccながら、アルファロメオにも載っている170馬力のターボと、レースで培ったより経験値の高い足回りを備えた一台で、それはマツダの解釈とは違うが、ラテン好みの満足いくチューニングバランスじゃないかと思っている。

また、さすがデザインの国だけあって、外装はなかなか魅力的だ。

ロードスターという骨格をうまく料理してある。

残念ながら内装はほぼ同じだ。

素材や色味を変えて、別の仕立てにしてあるが、そこまでコストをかけられないのだろう。

まぁトータルで見て、なかなか面白いものになっているなと思っている。

 

価格は、ロードスターで270万程度、グレードはS Special Packageを選択する。

ここでの選択は軽やかなバランスの一台だと。

マツダは他にFRを作っていない。

完全独自設計のプラットフォームとシステムを備えた、多くは売れるはずもないフルオープンのスポーツカーがこの価格とは、まさにバーゲンだと思う。

①RFで選ぶなら、ビルシュタインのダンパーを奢ったレザーシートのRSで374万程度。

約100万円も違うが、余裕があればこれも悪くない。

②は非常に設定がうまく、ビルシュタインにブレンボ、アルカンタラハーフレザーシートで389万程度。

これまた値は張るが、数を考えればアバルトというブランドは希少だし、実は一番好みだったりする。

そして若干の思い入れもあるのだ。

 

2010年に、フェラーリ等のデザインで有名なイタリアのピニンファリーナという工房がアルファロメオのデザインスタディを発表した。

伝統的にアルファのオープンは、ピニンファリーナがデザインすることが慣例である。

それはデュエットッタンタという舌を噛みそうな名前のコンセプトモデルだった。

大変に好みのデザインで、もしこのまま発表されたらと強烈に心を躍らせた覚えがある。

当時のカタログのアルファロメオのスパイダー(オープン2シーター)はGM提携時代の名残りの、オペルのプラットフォームを使ったFFで、デザインは素敵だが、とにかく鈍重で(1,6トンもありやがる)アルファらしくない動きのマシンで、価格もそれなりにするものだった。

それがデュエットッタンタのデザインは明らかにFRだった。

当時フィアットは、新型の500でV字回復を果たしていたとはいえ、FRの小型車なんて開発する体力なんてあるはずない。

しかしピニンが何の予定もないFRなんかデザインする意味もない。

謎だった。

そんな時、開発中の新型ロードスターのプラットフォームで次期アルファスパイダーが出るらしいという噂が耳に入ってきた。

これか!と思ったものだ。

ところが親会社であるフィアットのアルファロメオ新ブランディング戦略によって、4Cという車が生まれたところで、そのプランは頓挫。

この4Cもまた、約1000万もする車ながら、その内容は戦略的に今後のフィアットのカーボンプラットフォームの技術を大衆化する試金石としての大胆なミドシップスポーツで、相対的にはバーゲンだと思う。

ま、紆余曲折あって、フィアットと、そのスポーツバージョンを担うアバルトブランドで124が発表されたというわけだ。

日本には、多分マツダとの価格的なバッティングを避け、ブランド的にも認知されているフル装備のアバルトだけが輸入されている。

その実車はデュエットッタンタとは全く別のデザインで、フィアットの70年代の124スパイダーのデザインを現代的に解釈したものとして登場してきた。

アルファで出なかったことは少し残念だったが、マツダロードスターの出来が凄まじく良かったので、急速にオレの中でも有りかなと思うようになったのだ。

 

とりとめもない話だが、オレはこういった車を所有することは、現代的な幸せのカタチの一つだと思う。

試乗は無料だし、いろんな車に乗ってみて、比べてもらいたいのだ。

その上で興味も生まれなければ、それはそれ。

それぞれに別の幸せのカタチがある。

金はそれぞれの幸せの為に使うべきなのだ。