ノースロンドンダービー
イングランドの数あるダービーの中でも互いのライバル意識が強く、スタジアムが熱狂的な雰囲気に包まれるノースロンドンダービー。そのライバル関係がスタートすしたのは1913年、ホワイト・ハート・レーンからわずか6kmのハイバリーにアーセナルが移転してきた事に始まっている。近年では2001年に当時のスパーズのキャプテン、ソル・キャンベルが契約満了とともにアーセナルに移籍したことで、スパーズファンの逆鱗に触れ関係が悪化。03-04シーズン、アーセナルが優勝を決めたホワイト・ハート・レーンでの一戦では、スタンドの殺気立つ雰囲気を察して、ソル・キャンベルは試合後の歓喜の輪に加わることなくロッカールームに引き上げていった。そして今シーズンの対戦では、かつてのアーセナルのエース、アデバイヨールがスパーズの選手としてピッチにたつ。あまり熱くなり過ぎないと良いが…。
復調のスパーズ、満身創痍のアーセナル
リーグ戦では149回目となる両雄の激突は、過去スパーズの47勝60敗41分。近年のリーグ戦をみても、常にアーセナルの後塵を拝してきた印象のトッテナム。しかし今のチーム状態を考えると、圧倒的にホームチームに分があるように思える。マンチェスター勢に対して連敗を喫したものの、その後3連勝。新加入組みのアデバイヨール、パーカー、レンタルバックのウォーカーもうまくチームにフィットしている。一方のアーセナルは、アルテタ、メルテザッカーの加入で多少上向いているが、怪我人の多さが問題。ジェルビーニョ、ウォルコットも万全の状態とはいえず、特に最終ラインはジュルー、ベルマーレン、コシェルニー、スキラッチが離脱中と不安は大きい。最大のライバル相手に勝利を収めることで浮上のきっかけを掴みたいが…。
積極的な立ち上がりも…。
試合はダービーにも関わらず、ちょっとゆるい展開に。立ち上がりの15分位までは、スパーズが積極的にプレスをかけていましたが、時間の経過とともに緩くなっちゃいました。前半8分にパーカーが迎えた決定機は、良いプレスが生んだ見事な形でした。相手の最終ラインにしっかりとプレスをかけ、全体をコンパクトに保てていたため相手のミスを誘いましたね。この展開を続けていれば、圧倒的な展開に持ち込むことが出来たと思いますが、ミッドウィークにELを戦っている影響なのか、ボールホルダーに対してプレスがいけなくなっちゃいました。失点シーンなんかは顕著ですが、ルーズボールを拾ったソングに対して、ファン・デル・ファールトの寄せは遅いし、ウォーカーのカバーリングの位置も悪い。あれだけ自陣の深い位置で時間を与えたらやられちゃうのは当然です。
一方のアーセナルはまだまだ苦難の道が続きそうです。落ち着いてポゼッションはできていましたが、まだまだ意思疎通が図れていないのか、少しボールがずれてしまったりでなかなか攻撃にリズムが出ないですね。前半は55%とポゼッションで上回っていたようですが、全くそんな印象は受けなかったです。まあボールは持てているんでしょうが、どうしても確実性の高いプレーを選択してしまって、相手が嫌がるプレーを選択出来てないですね。スピードアップしてカウンターを仕掛けたほうが効率的な場面でも、1つ無駄な横パスが入ってしまって相手に帰陣する時間を与えてしまったり、綺麗なサッカーへのこだわりが強すぎるのんですかね。もちろんそれでも相手を崩しきれれば問題はないんですが、今のチームはまだまだ成熟度が低いので厳しい試合が続きそうですね。そしてこの試合でもサニャが負傷退場。どうやら足首の骨折で復帰までに時間もかかりそうです。ガナーズの負のサイクルはいつになったら払拭されるんでしょうかね。
懸念されていた問題
試合前にレドナップ監督が「アデバイヨールに対するブーイングは控えて欲しい。」とコメントを残していたんですが、やっぱり…。アフリカネーションズカップの時にトーゴ代表のチームバスが襲われ、コーチングスタッフに死傷者が出た事件を揶揄するチャント「あの時、お前が撃たれるべきだった。」とアーセナルファンが歌っていたのが問題になってますね。熱くなるのは分かりますが、さすがにちょっと…。