一、総資本対総労働
これから４回にわたって、最近話題のフジテレビの歴史について勉強しよう。それではサクラさんとマナブ君、お願いします。
フジテレビの話をする前に、フジテレビ開局に際し主に出資したニッポン放送について話さなければなりませんニッポン放送の誕生は１９５４年です。
当時は、共産主義運動が盛んでした。↓の写真は、「総資本対総労働」の対決と言われた三井三池争議の様子です。
労働者と警察官が戦っています。
資本とは企業や経営者のことだと考えてよいだろう。現代では考えられないくらい労働者側が強いね。これでは、労働者が国や経営者（資本）を倒して、共産主義政権を樹立する恐れもあったね。
そこで、日本の共産化を防ぐための大企業、資本家の集まりが1946年に創設された「日本経済団体連合会」（経団連）であり、総労働に対する資本家側のタテが1948年に創設された日経連（日本経営者団体連盟）です。つまり、労働者との戦いの矢面にたち、労働組合を弱体化させたり、賃上げ要求などに対抗したりしていたのです。
この活動には後述する鹿内信隆さんが実務担当者として大活躍し、鹿内氏自身「私のいちばん記録に残すべき時代は日経連時代なんです」と述べているくらいです。
そして、その「総資本」の主張を国民に訴えるためにつくられたラジオ局がニッポン放送なのです。
日経連はその後どうなるんでしたっけ？
はい、2002年に経団連（日本経済団体連合会）に統合されます。労働者側と資本家側の融和が進み、「たて」である日経連は必要なくなったということかもしれません。
日本にはその他に会社側が日本の経済や社会が発展するよう意見をまとめたり、政府に提言をしたりする団体はありますか？
日本には、経団連以外にも経済にまつわる会社や経営者の団体があります。中でも有名なのが「日本商工会議所」と「経済同友会」です。経団連と合わせて「経済3団体」とも呼ばれ、それぞれ連携もとっています。
日本商工会議所は、全国の中小企業や商店の代表が集まります。日本の会社の99.7％は中小企業です。日本商工会議所はその支援や、地域の経済を活性化するための活動などを行っています。
経済同友会は、会社の経営者が個人の立場で参加する団体です。会社のもうけだけでなく、社会全体のことを考えながら意見を出すのが特徴です。
二、ニッポン放送、フジテレビ設立
さて、ニッポン放送の創設時の幹部は財界の大物、日経連の幹部が多数を占めました。父の植村澄三郎（うえむら ちょうざぶろう サッポロビールなどの社長）が日経連のメンバーである植村 甲午郎（うえむら こうごろう 後の経団連会長）さんが社長に、また、代表取締役専務には日経連専務理事の鹿内信孝さんでした。この鹿内さんが実務を取り仕切ったと言われます。また、取締役には日経連会長で「ミスター日経連」と呼ばれた櫻田武さんが就任しました。
そして、ニッポン放送と文化放送を中心に１９５９年に設立されたのがフジテレビです。社長には文化放送社長の水野成夫さん、鹿内信隆さんが専務に就任、ニッポン放送同様、鹿内さんが実務を担ったとされます。
フジテレビはニッポン放送などの出資で設立された、つまり、フジテレビはニッポン放送の子会社であることを覚えておいてください。ニッポン放送を支配すれば、フジテレビも支配できる構造だったということです。
ここでニッポン放送社長の水野成夫さんについて調べてみました。彼は、池田勇人首相（１９６０年～１９６４年）を支えた「財界四天王」すなわち、小林中（こばやしあたる）さん、 水野成夫（みずのしげお）さん、 永野重雄さん 、桜田武さんの一角を占めていました。
池田首相といえば、「所得倍増計画」を成し遂げたことで著名です。
財界四天王も池田首相に対する資金面でのバックアップのみならず、政策にも大きくかかわったと言われています。
ということは、「所得倍増計画」に財界四天王も影響を与えているということですね。財界四天王のメンバーにはニッポン放送の創立に関わった桜武武さんの名前も見えます。
水野さんは1958年、東京進出時の過剰な投資により経営危機に陥っていた大阪発祥の産業経済新聞社（産経新聞）を創業者である前田久吉さんから買収し社長に就任します。水野氏は在京新聞社・ラジオ局・テレビ局を一手に掌握したことから「マスコミ三冠王」「財界のマスコミ対策のチャンピオン」と評され、今日のフジテレビ＋ニッポン放送・文化放送＋産経新聞からなるフジサンケイグループの土台を築いたとされます。
ちなみに前田久吉さんは東京タワーの建主としても著名です。
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣②に続く
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拙著に込めた思いについては
「やさしい中学地理」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
「やさしい中学歴史」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
「やさしい中学公民」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
を参照してください。
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