調味料庫は業務スーパーの香り | 給食のおばさん

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新米・給食のおばさんが見た、いまどきの学校給食の現場へようこそ。
毎日、ドジっては落ち込み、舞いあがりながらも、楽しく働いています。
事実に基づいた創作エッセイです。
エピソードは実際の出来事をもとにしていますが、
登場人物や施設、団体は架空のものです。

私、かきぴーの職場には、調味料出し係という役割がある。

調味料は作る人が自分で出すもの…という職場もあるだろうが、
大石小の給食室では、作る人がスムーズに作業に取り掛かれるよう、
調味料出し係がその日のメニューの調味料をまとめて出す仕組みになっている。


スタッフが週替わりで担当を務めることになっており、
かきぴーにもその御役目が回ってくるようになった。


調味料庫の棚には塩、砂糖、しょうゆ、ソース、酒、小麦粉、片栗粉、が、

大瓶や蓋つきポリバケツで置かれており、

さらにコショウ、カレー粉などの細かい調味料の小瓶・缶が並んでいる。


集団大量調理といって、あなどることなかれ


砂糖はメニューによって、白砂糖、三温糖、ザラメ糖を使い分け。
酢も米酢と穀物酢を使い分け。
もちろん、しょうゆも濃口、薄口の両方が揃っている、
コショウも白、黒、テーブルコショウの3種類。
スパイスもオレガノとか、ナツメグとか、オールスパイスとか、いろいろ使っているのだ。


いろんな食材、調味料の匂いが混ざった、なんというか…

かきぴー宅の近所にある業務スーパーの店内と同じ匂いがする。

私は業務スーパーでいろんな調味料を見るのが好きなので、

調味料庫に入ると、いい気持ちになる。


が、のんきに調味料を眺めている場合ではない。


調味料庫に入り、大小のハカリをセットして、
作業指示書の調味料使用量を見ながら、調味料の量に応じたボールにどんどん砂糖やしょうゆを入れていく。
入れ終わったものをメニューごとにまとめて、作る人が作業しやすい場所に場所にセットしておくのがお仕事。


これだけのことなのだが、けっこう細かい決まりがある。


まず、出す順番

原則として、作業導線図を見て、釜での調理作業が早い物から出していく。
魚や肉の下味用や唐揚げの着け粉、ハンバーグなど成型ものの調味料が必要なときは、これらが最優先。
ルー、タレやドレッシングの材料も優先順位が早い。


調味料の扱いかたにも決まりがある。


特にドレッシングは要注意。
ドレッシングの材料も全て85度以上に加熱するのが給食調理の決まりだ。
でも、例外があり、
時間をかけて高温加熱すると風味が落ちたり分離したりするサラダ油やごま油は、
他の調味料を加熱した最後に入れる。
だから、使いかけではなく、新品を開封して使う。
このように新品を開封するものには、
お好み焼きの仕上げにかけるソースや、
揚げパンの仕上げにかける砂糖がある。


カレーの時も注意が必要だ。
なぜなら
、低学年は甘口、高学年は辛口と作り分けるので、
調味料も二釜分に分けて出さなければならない。


ボールも調味料の量によって大小を使い分け。


0.2kgまでのものはミルクカップと呼ばれる一番小さいボール。
0.3~0.5kgくらいのものは、それより一回り大きいボール。
2kgを超えるしょうゆは一番大きいボール。
5kgを超えるトマトピューレは14リットル食缶へ。

3kg超えのしょうゆを計った時には驚いた。
これでもかというほど、ドボドボと、入る、入る。


給食調理の調味料は、

ワイルドだぜ~?
でも、
繊細だろ~?