ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)
第111話《四ノ宮青年の正体》さくら
ヘルメットを脱いだ顔に驚いた!
それは渡辺謙を若くして、少しバタ臭くしたハーフっぽいイケメンなのだ。それに、耳がすこし大きい。
思わず見つめてしまった。
「ああ、自分ハーフエルフだから」
ええ( ゚Д゚)!?
「妹はフリー〇ンていって、魔王をやっつけたあと、魔導書を集めながら仲間と北の国を目指してる」
は、はあ……
「四之宮クン、こないだはヴァルカン人とか言ってなかったぁ」
測量技師のおじさんがジト目で言う。
「アハハ、近ごろはスタートレック知らない子もいるからぁ」
「な、なんだ(^_^;)」「信じたぁ(^・^;)」「びっくりしたぁ(^○^;)」
「ここ昔はうちの屋敷があったんだ……」
あっさり言った……え、エルフのお屋敷!?
「……あの、聞いてる?」
「あ、はい。もちろん!」
あやうく上の空になるところだった。
「うちは昔ちっこいけど大名家でね、代々ここに上屋敷をもっていたんだ。大名家って没落したとこが多いんだけど、うちのご先祖は上手く立ち回って明治からこっちは華族さまでね。帝都の創設者がひいジイサンの友達で、学校が移転するときにこの家屋敷を寄付した……といったらかっこいいけど、戦争に負けてニッチモサッチモ。で、国に取られてバラ売りされるよりは、そのまま学校になった方がいいって、帝都女学院がここにあるわけ。で、上屋敷だったころは、ここ丑寅……北東のことね、魔物が入ってくるって鬼門だったんだ。実際不審火が出たり、庭師が怪我をしたりしたりして。そこで、都から陰陽師を呼んで鬼門封じをやってもらったと……ここまでいい?」
みんな黙ってコックリした。エルフの上にやんごとないお方なのだ。
「ここ昔はうちの屋敷があったんだ……」
あっさり言った……え、エルフのお屋敷!?
「……あの、聞いてる?」
「あ、はい。もちろん!」
あやうく上の空になるところだった。
「うちは昔ちっこいけど大名家でね、代々ここに上屋敷をもっていたんだ。大名家って没落したとこが多いんだけど、うちのご先祖は上手く立ち回って明治からこっちは華族さまでね。帝都の創設者がひいジイサンの友達で、学校が移転するときにこの家屋敷を寄付した……といったらかっこいいけど、戦争に負けてニッチモサッチモ。で、国に取られてバラ売りされるよりは、そのまま学校になった方がいいって、帝都女学院がここにあるわけ。で、上屋敷だったころは、ここ丑寅……北東のことね、魔物が入ってくるって鬼門だったんだ。実際不審火が出たり、庭師が怪我をしたりしたりして。そこで、都から陰陽師を呼んで鬼門封じをやってもらったと……ここまでいい?」
みんな黙ってコックリした。エルフの上にやんごとないお方なのだ。
「で、将門塚から敷石を一つもらってきて。あの校舎の下あたりに埋めたんだ。それから、今みたいに坂の上の方に物が転がるようになった。どう、すごい話でしょう……?」
最後の方は、声を低めて言うもんだから、あたしたちはすっかりキミが悪くなった。
「ハハ、信じたぁ?」
「え……え、ウソなの!?」
「本当さ。でもここから先は佐伯君に譲ろう」
最後の方は、声を低めて言うもんだから、あたしたちはすっかりキミが悪くなった。
「ハハ、信じたぁ?」
「え……え、ウソなの!?」
「本当さ。でもここから先は佐伯君に譲ろう」
佐伯君が少年探偵のように一歩前に出た。
「実は、重力異常の場所って案外あるんだよ。うちみたいに建築会社やってると、たまにこういうところに出くわすんだ。地脈の異常とか、地下に大きな隕石が埋まってるとか、説はいろいろだけど、怪奇現象……にしていた方がいいかな。あ、由美、そろそろ時間じゃないか?」
佐伯君が、兄妹のニュアンスで米井さんに振る。
「実は、重力異常の場所って案外あるんだよ。うちみたいに建築会社やってると、たまにこういうところに出くわすんだ。地脈の異常とか、地下に大きな隕石が埋まってるとか、説はいろいろだけど、怪奇現象……にしていた方がいいかな。あ、由美、そろそろ時間じゃないか?」
佐伯君が、兄妹のニュアンスで米井さんに振る。
それから、わたしたちは米井さんに先導されて旧館三階の水洗い場に向かった。三つ蛇口が並んだ横に時代物の水飲み機があった。
「え、ここで何かあんのん?」
大阪弁丸出しで里奈が聞く。
「待ってて、あと20秒ほどだから……」
みんな米井さんに従って、水飲み機を見つめた。
ドーーーーーーーーーー
キャ( ゚Д゚)!?
なんということ!
誰も触らないのに、水飲み機から放物線を描いて水が飛び出した。まるで透明人間が水を飲んでいるように!
「え、ここで何かあんのん?」
大阪弁丸出しで里奈が聞く。
「待ってて、あと20秒ほどだから……」
みんな米井さんに従って、水飲み機を見つめた。
ドーーーーーーーーーー
キャ( ゚Д゚)!?
なんということ!
誰も触らないのに、水飲み機から放物線を描いて水が飛び出した。まるで透明人間が水を飲んでいるように!
☆彡 主な登場人物
- 佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
- 佐倉 さつき さくらの姉
- 佐倉 惣次郎 さくらの父
- 佐倉 由紀子 さくらの母 ペンネーム釈迦堂一葉(しゃかどういちは)
- 佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
- 佐久間 まくさ さくらのクラスメート
- 山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
- 米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
- 白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
- 原 鈴奈 帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
- 坂東 はるか さくらの先輩女優
- 氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
- 秋元 さつきのバイト仲間
- 四ノ宮 忠八 道路工事のガードマン
- 四ノ宮 篤子 忠八の妹
- 明菜 惣一の女友達
- 香取 北町警察の巡査
- クロウド Claude Leotard 陸自隊員
- 孫大人(孫文章) 忠八の祖父の友人 孫家とは日清戦争の頃からの付き合い
- 孫文桜 孫大人の孫娘、日ごろはサクラと呼ばれる
- 周恩華 謎の留学生