八幡産の碾(てん)茶を使った煎餅を、京都府八幡市上津屋の茶農家松田一男さん(60)が今秋をめどに市内の観光地で販売する。抹茶の原料には使用されない茎をパウダー状にして練り込み、ほんのりとお茶の香りがする。
茶葉に含まれるアミノ酸の一種で、リラックス効果があるとされるテアニンを多く含む茎を有効利用しようと、松田さんが今春、知人を通じて高島市の業者に煎餅作りを依頼した。
煎餅には、人類初の有人動力飛行機開発を目指した八幡ゆかりの二宮忠八(1866~1936年)が飛行実験を重ねた「カラス型飛行器」の焼き印を押す。焼き印は松田さんがデザインした。
9日に飛行神社(同市八幡)で営まれた忠八の生誕150年記念祭で、煎餅が出席者に配られた。松田さんは「菓子で八幡をアピールしたい。石清水八幡宮や松花堂庭園をイメージした焼き印も作る」と話している。
一袋70グラムで、販売予定価格は410円。
【 2016年06月29日 10時46分 】
宇治茶の生産技術の改良研究を担う茶業研究所(京都府宇治市)について、京都府は29日、現地で本館などを建て替え、2017年度秋にも稼働させる方針を明らかにした。1969年の移転・新設以来初めての建て替えとなる。消費者ニーズに対応した研究開発を強化するため、企業や大学との連携交流を重視したオープンラボ(共同研究室)などを新たに設ける。
建て替えは、府が2017年度に本格実施する府南部の地域振興事業「お茶の京都」の重点施策として取り組む。老朽化した旧施設の隣接地で、本館(約950平方メートル)と工場機能を備えた製茶棟(約670平方メートル)をいずれも府内産木材を用いた平屋建物として新築する。10億円前後の総工費を見込んでいる。
本館では、オープンラボやオープンスペースを新設し、京都大や府立大、京都文教大などの大学、企業との共同研究を強化する。抹茶スイーツなどの食品加工や商品開発、宇治茶の香りやうまみ成分について科学的根拠に基づく機能性評価を行い、魅力発信に力を入れる。海外輸出をにらみ、安全性評価を行う機器分析室も設ける。
製茶棟では、伝統の手揉み技術のほか、最新の茶製造や仕上げ加工に関わる設備をそろえ、これまでも行ってきた生産支援や担い手育成をさらに強化する。
府の松本均農林水産部長は同日の府議会一般質問の答弁で「(玉露などを長期保管する)熟成茶に着目し、大手食品メーカーとの研究開発も検討している。世界を視野に入れた技術革新や、宇治茶の価値発信に取り組みたい」と述べた。
【 2015年09月29日 22時55分 】
庭や畑でミツバチの飼育を愛好する市民が増えるなか、今シーズンは外来ダニによる被害が目立っている。10月4日に京都市右京区の京都学園大太秦キャンパスで開かれるニホンミツバチの養蜂研究会で、感染対策を考える。
「ニホンミツバチの危機を救え」をテーマに、京都ニホンミツバチ研究所(亀岡市)と綾部市を中心とした幅広い人たちによる京都ニホンミツバチ週末養蜂の会が開催する。
ニホンミツバチを研究する京都学園大バイオ環境学部(亀岡市)の坂本文夫名誉教授によると、「アカリンダニ」という虫がこの数年間、全国で急激に繁殖し、特に今シーズンは顕著だという。微小のアカリンダニは、ニホンミツバチの気管内に寄生して衰弱させたり飛行する力を奪う。京都府内でも深刻な影響を及ぼしているという。
当日は農業生物資源研究所や国立環境研究所の研究者などを招いて、アカリンダニをはじめとした害虫の生態や対策などについて最新の研究成果の講演や討論の場を設けるほか、養蜂愛好家や希望者の交流会を催す。
午後1時開会。同4時すぎから交流会。参加費千円。問い合わせ・申し込みは京都ニホンミツバチ研究所TEL・ファクス0771(20)4142。
【 2015年09月20日 17時50分 】
湿原や干潟の高い価値が浮き彫りになった。湿原と干潟は日本の生態系の中でも最も損失が激しく、環境省は「保全の重要性をあらためて理解してほしい」としている。
評価したのは釧路湿原(北海道)や尾瀬(福島、群馬、新潟県)に代表される全国の湿原約850カ所、計約11万ヘクタールと、藤前干潟(愛知県)や有明海(佐賀県など)に代表される全国の干潟約1300カ所、計約5万ヘクタール。(共同通信)
【 2014年05月23日 12時05分 】
京都府の球技専用スタジアム計画に伴い同府亀岡市は、国の天然記念物アユモドキの保護に向け、繁殖実験場の整備を建設予定地の一角で進めている。生息地の川に隣接する水田に3カ所の池を掘り、人工的な環境でも産卵や成育が可能か確認する。
市は現在の生息地一帯を「共生ゾーン」として整備し、アユモドキを保全するとしている。実験の成果はゾーン整備に役立てる。
三つの池のうち、現在の産卵場所に最も近い池は「自然繁殖実験場」とする。産卵場所の上流約10メートルの位置に大きさ約800平方メートルの池(増水時の深さ20~80センチ)を掘り、水路で川とつなぐ。アユモドキは増水時に水没した草の根元に卵を産み付ける習性がある。実験場には産卵場所と同じ草を植え、親魚が川から池に移動し、産卵するかどうかを確認する。
そこから上流300メートル付近に残り二つの池を並べて整備する。一つは「放流魚繁殖実験場」(約900平方メートル)で、6月の保護作業の際に捕獲した親魚を放ち、産卵行動をモニターする。もう一つは「稚魚の成育場」(約800平方メートル)で、生息地の川と細いパイプでつなぎ、稚魚やふ化後間もない仔(し)魚が生活場所として使うかをテストする。
例年、アユモドキの産卵は6月上旬に始まることから、工事は今月中に終える予定。市環境政策課は「亀岡のアユモドキについてこれだけ本格的な実験は初めて。スタジアム計画での保護区域作りに生かせるようなデータを集めたい」としている。
【 2014年05月22日 10時30分 】