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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【#ガザジェノサイドは続いてる】イスラエル軍によるガザ侵攻開始から200日経過。パレスチナ人3万5千人が死亡。軍が殴打や電気ショックの拷問。病院で300人が遺体に。ネタニヤフ首相がラファ突入を計画。

2024年04月24日 | イスラエル・パレスチナ戦争

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 2024年4月23日はイスラエル軍によるガザ侵攻が始まって200日目でした。

 反米拗らせ論者はハマスによる2023年10月7日のイスラエル奇襲攻撃を不問に付して、「不当だが非難できない」とわけのわからない日本語を使っていましたが、もちろん赤ちゃんや妊婦や外国人まで含めて1200人もの市民を殺害し、200人以上の人を拉致して人質にした行為は許すべからざる犯罪です。

 今のイスラエル軍のジェノサイドの引き金になったという意味でももちろん批判されるべきです。

 しかし、そのハマスの蛮行に対する報復としてイスラエル軍が「自衛権の行使」と称してやっていることは、まさにパレスチナ人に対するジェノサイド条約違反のジェノサイド(民族虐殺)。

 3万5000人近い人が殺されたということはイスラエル軍は1日平均170人以上のパレスチナ人を殺しており、ハマスに殺害された人の30倍近くも半年余りで殺戮しているわけですから、こんな無差別殺戮が自衛権の範囲の訳がありません。

多くの避難民がテントで生活するパレスチナ自治区ガザ地区の最南部ラファ=2024年3月11日、ロイター

 

パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、イスラエル軍による攻撃があった現場=4月17日(ロイター=共同)

 

18日、パレスチナ自治区ガザ北部のガザ市で、イスラエル軍に破壊された建物のがれきの中を歩く人々。
4月18日、パレスチナ自治区ガザ北部のガザ市で、イスラエル軍に破壊された建物のがれきの中を歩く人々。【AFP時事】

 

 

 また、イスラエル軍は食料や水やエネルギーも途絶えさせてガザ地域200万人以上を飢餓状態に陥らせています。

 イスラエル政府は侵攻当初からハマスを「獣人」と呼んでいますが、ハマスのみならずパレスチナ人を人間扱いしていません。

 例えば、トンネルにハマスが潜んでいるかもしれないと海水を地下に大量に流し込み、種子島ほどの広さの土地に220万人が押し込められているガザの命の水である井戸まで使えなくしています。

ICJ(国際司法裁判所)がイスラエル政府に対してガザでのジェノサイド(集団殺戮)行為を防ぐ「全ての手段」を講じるよう仮保全措置(暫定措置)を命令!イスラエル軍の即時撤退を要求しよう!!

 

 

 また、イスラエル軍によるパレスチナ市民に対する拷問はウクライナ占領地でのロシア軍のそれに匹敵するもので、

「ハマス戦闘員がどこに隠れているのか、何度も尋問された。『知らない』と答えると、身体に電気棒を当てられ、素手や銃床で殴られ、蹴られた」

「イスラエル兵は十分な水を与えず、私たちは常に喉が渇いていた。多くのパレスチナ人が水を求めては殴られた。『これでも飲め』と笑いながら兵士に小便をかけられたパレスチナ人もいる」

と言った証言がパレスチナ市民から続々と寄せられています。

2024年4月21日、ガザ南部の都市ラファでイスラエル軍に殺されたパレスチナ市民の遺体を前に悲しむ女性たち。

 

 

 さらに、ロイター通信は4月22日、ガザ当局者の話として、ハマスの拠点だとしてイスラエル軍が攻撃した南部ハンユニスのナセル病院の敷地からこの1週間で遺体283体が発見されたと報じました。

 その後、遺体の数は増え続けています。

 ガザの当局者の説明によると、敷地内で少なくとも3カ所の「集団墓地」が見つかったということで、同当局者はイスラエル軍が「処刑を行った」と主張。遺体を埋めて隠蔽しようとしたと訴えています。

 しかも、遺体の掘り出しはまだ1カ所目で、いったいイスラエル軍がどれだけのパレスチナ市民を処刑したか見当もつきません。

 まさに、ロシア軍がウクライナで2022年3月~4月に行なったブチャ虐殺の再現のようです。

 ロシアにしてもイスラエルにしても侵略軍がすることは皆同じで、ただの停戦では足らず、侵略軍を占領地から即時撤退をさせないと問題が解決しないのは古今東西に共通した真実だとわかります。

 

イスラエル軍のガザ侵攻から100日。追い立てられるパレスチナの民「自分たちが先に立ち退いてしまえば次は隣が襲われる」「土地を追われるのは体から魂を奪われるようなもの」。「たかが領土」論の傲慢を知れ。

 

 

 ところが、イスラエルのネタニヤフ首相は4月21日に声明を発表し

「今後数日間、我々はハマスへの政治的、軍事的圧力を強め、近いうちに痛烈な追撃を加える。それが人質を解放し我々が勝利する唯一の方法だからだ」

と述べ、220万人の市民のうち150万人が避難しているという南部最後の主要都市ラファへの地上侵攻を示唆しました。

 そして、イスラエル軍は4月23日にガザ全域で攻撃を激化させ、ここ数週間で最も激しい砲撃を実施しています。

 さらに、アメリカ合衆国のバイデン政権はイスラエル・パレスチナの二か国共存しか最終的な解決はあり得ないと口先では言っていたのに、4月19日に国連安全保障理事会で採決にかけられた、パレスチナを国連の正式な加盟国とするよう勧告する決議案について、理事国15か国のうち日本を含む12か国が賛成しましたが、アメリカが拒否権を行使して否決されました。

 イスラエルのネタニヤフ政権の国際人道を真っ向から踏みにじる異常性、それを支援するバイデン米政権の偽善と欺瞞性は明らかです。

 「自衛戦争」の名のもとに侵略戦争をした反省のもと、すべての戦争を放棄する憲法9条を持つ日本は、ガザで市民を皆殺しにする勢いのイスラエルとアメリカを追い詰める国際社会の先頭に立つべきです。

イスラエル軍のガザ侵攻について「民間人の死傷者数が多過ぎる」と国連安保理での停戦決議に拒否権を使えなくなったバイデン米政権が、裏ではイスラエルへの戦闘機25機や2300発以上の爆弾の売却を承認した偽善

 

 

追伸

この記事を書いてFACEBOOKでシェアしたら、立憲民主党の応援グループでは「イスラエルに制裁を!」「お互い悲しいだけなのに。。。なんで人間はなかなか賢くならないのだろう。涙😭というコメントがついたのに、某組のグループでは1時間も経たないうちに

「ウクライナでロシアが拷問をしたか、どうかは疑問。ウクライナがやっている可能性が高い。ただし、ガザにおいては、100%イスラエルの兵士がやっている。こんな非人道的なことを国連に加盟している諸国は避難しなければならない。イスラエル兵士、ネタニヤフは人間じゃない。」
 
と、さっそく親露派陰謀論丸出しのコメントをされてしまいました。字も間違えてるし(-_-;)。
 
同組が衆院での2022年2月のロシアに対する非難決議に反対して以来、こんな人がさらに集まってきています。
政党として、本当によく考えたほうがいいです。
 
 
 

国連が委託した外部調査機関による2024年4月

『22日に公表されたリポートによると、国連が委託した同調査では国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に「中立性に関連する問題が根強く残っている」ことが分かった。これには施設が「政治的あるいは軍事的な利益のために悪用された」ケースが含まれるという。しかし調査の発端となったイスラエル側の主張に関しては、結論は出なかった。』

というのです。

イスラエル政府の主張で日本を含む欧米各国がUNRWAへの支援を一時止めたわけですが、イスラエルやロシア政府発のフェイクニュースは本当に恐ろしいです。

イスラエル政府・軍はICJの「ジェノサイド行為を防ぐ全ての手段を取れ」という命令通りに即時撤退せよ。国連パレスチナ難民救済事業機関の一部職員への疑惑を理由に日米などが支援を全面停止したのは許されない

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ガザ戦闘開始から200日に イスラエル政権、人質救出など目標を達成できず

21日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、イスラエル軍の攻撃を受けて立ちのぼる黒煙(ロイター)

ラファで地上作戦を行うと表明

イスラエルのニュースサイトは21日、ネタニヤフ首相が交流サイト(SNS)に投稿したビデオ動画で、「ハマスは人質の解放を求めるすべての提案を拒絶している」とし、「数日以内に軍事的圧力を強化する」と述べたと伝えた。

ネタニヤフ氏は4月上旬、避難民ら100万人超が密集するガザ最南部ラファで地上作戦を行う日が決まったと表明し、国際社会は人道危機が深刻化するとして自制を求めている。

AP通信は21日、イスラエル軍がラファを攻撃して子供18人を含む22人が死亡したと伝えた。軍は20日もラファのほか中部ヌセイラト、北部ジャバリヤの難民キャンプなどガザ各地を爆撃したと報じられた。

「自分のため戦争続けている」批判も

イスラエル英字紙エルサレム・ポスト(19日電子版)によると、最新の世論調査で中道右派野党の代表、ガンツ前国防相の支持率は42%、右派政党党首のネタニヤフ氏は37%。ハマスの奇襲以降、ネタニヤフ氏は国土防衛に失敗したとして強い批判を浴びている。

政権が崩壊して国会選挙が行われれば首相の座を追われる可能性があるため、「ネタニヤフ氏は自分のために戦争を続けていると大多数の人が考えている」。ニュースサイト「タイムズ・オブ・イスラエル」のタル・シュネイデル記者は3月下旬の産経新聞の取材でこのように指摘した。

米国やカタール、エジプトが仲介するハマスとイスラエルの停戦交渉は難航している。戦闘終結とガザからの軍撤収を求めるハマスに対し、イスラエルは恒久的な停戦を拒否しており、対立が続いているもようだ。

イスラエル軍はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸でも、反イスラエル民兵組織の掃討作戦を進めている。隣国レバノンの親イラン民兵組織「ヒズボラ」との交戦も日常化しており、緊張はさらに高まる恐れがある。

ハマスはイスラエル奇襲で住民を無差別に殺傷し、250人超を人質としてガザに連行。解放されたのは120人余りにとどまる。イスラエル軍はガザでハマスの地下トンネルを破壊するなどしたが、ガザのシンワール指導者ら主要幹部は未発見のままだ。(カイロ 佐藤貴生)

 

 

イスラエル、ガザ全域で攻撃激化 米は飢餓リスクを警告

イスラエル軍は23日、パレスチナ自治区ガザ全域で攻撃を激化させ、ここ数週間で最も激しい砲撃を実施した。ガザで2023年10月撮影(2024年 ロイター/Mohammed Salem)
[23日 ロイター] - イスラエル軍は23日、パレスチナ自治区ガザ全域で攻撃を激化させ、ここ数週間で最も激しい砲撃を実施した。同時にガザ北部は「危険な戦闘地域」と警告し、住民らに対し新たな避難命令を発令した。
中部および南部では空爆のほか、戦車からの砲撃も報告され、攻撃はほぼ絶え間なく行われたという。
イスラエル軍報道官はXへの投稿で、ガザ北部の4地区の住民に対し、指定された2つの地域にある避難所に移動するよう要請。イスラエル軍は同地域の「テロリストのインフラと破壊分子に対し極めて強力な部隊で対応する」と述べた。
イスラエル軍はその後「イスラム組織ハマスとは全く対照的に、イスラエル国防軍(IDF)は国際法に従い、民間人の被害を軽減するために実行可能な予防措置を講じている」とする声明を発表した。
米国の人道問題担当特使デビッド・サッターフィールド氏は米ワシントンで記者団に対し、ガザ地区の特に北部で飢餓が発生するリスクが「極めて高い」と言及。イスラエルに対し、飢餓を回避するためにあらゆる措置を講じるよう求めた。

 

パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスにあるナセル病院の敷地内で遺体を掘り出す作業中の医療関係者=21日(AFP時事)

 当局者の説明によると、敷地内で少なくとも3カ所の「集団墓地」が見つかり、遺体の掘り出しはまだ1カ所目という。同当局者は、イスラエル軍が「処刑を行った」と主張。遺体を埋めて隠蔽(いんぺい)しようとしたと訴えた。イスラエル側は処刑を否定している。

 イスラエル軍は、ハマスの大隊が残っていると見ているガザ最南部ラファへの地上作戦を計画。ネタニヤフ首相は21日、「(ハマスに)さらなる痛みを伴う打撃を加える」と述べており、近く計画が実行される可能性がある。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は22日、イスラエルの計画について説明を受けたエジプト当局者の話として、地上侵攻に先立つラファからの民間人退避に2~3週間、イスラエル軍のハマス掃討作戦に少なくとも6週間かかると伝えた。

 

 

殴打に電気ショック…水を求めると小便をかけられた イスラエル軍拷問の実態、ガザ市民が証言

腕に残る拷問の傷痕を見せるアムラン・アブワルダさん=2月、ガザ南部ラファ(共同)

 イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザで、軍はハマス戦闘員のほか、多数の民間人も拘束し、イスラエル領内の軍拠点に連行している。「身体に電気棒を当てられた」「小便をかけられた」…。軍は拘束を巡る情報を公表せず、詳細については不明な点が多いが、解放された市民への取材からは軍兵士による「拷問」の実態が浮かぶ。国連からもイスラエル政府に対し「拷問の疑い」を調査するよう求める声が上がる。イスラエル軍は「不当な行為はない」との主張に終始するが、イスラエル軍拠点では一体、何が起きているのか。共同通信ガザ通信員、ハッサン・エスドゥーディーが報告する。(敬称略。翻訳、構成は共同通信エルサレム支局長 平野雄吾)

 ▽裸にされて連行

 ガザ南部ラファ。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)運営の学校でアムラン・アブワルダ(54)は数センチにわたる左腕や背中の傷痕を見せ、振り返った。
 「ハマス戦闘員がどこに隠れているのか、何度も尋問された。『知らない』と答えると、身体に電気棒を当てられ、素手や銃床で殴られ、蹴られた」

 アブワルダは昨年11月19日、イスラエル軍兵士に拘束された。ガザ北部から南部へ子ども6人を含む家族と徒歩で避難中、主要道路に設けられた軍の検問所にさしかかった時だった。
 「1人だけ呼ばれ、家族の前で裸にされ目隠しされた。プラスチックの手錠をかけられ、車でどこかへ連れて行かれた。動けば動くほど、プラスチックの手錠が腕に食い込むようになった」
 ハマス関係者の近くに住んでいたことが原因とみられるが、拘束理由は明らかにされていない。連行先はイスラエル領内とみられ、軍拠点に着くと、下着を脱ぎ、おむつをはくよう命じられた。トイレに行かせないためだとみられている。アブワルダを含め、百数十人のパレスチナ人が同じ拠点にいたという。
 食事はわずかなパンに、いちごジャムなどだった。裸にされる時間が長く、寒さのあまり毛布を求めると、ぬれた毛布を渡された。「イスラエル兵は十分な水を与えず、私たちは常に喉が渇いていた。多くのパレスチナ人が水を求めては殴られた。『これでも飲め』と笑いながら兵士に小便をかけられたパレスチナ人もいる」

背中に残る拷問の傷痕を見せるアムラン・アブワルダさん=2月、ガザ南部ラファ(ハッサン・エスドゥーディー撮影、共同)

 尋問室にいたのは兵士4人。質問に対し、納得のいく答えが得られないと、兵士は次々とアブワルダを殴り、電気棒を当てた。腕や背中のほか、アブワルダの脚には直径1センチほどの穴のような傷痕も複数ある。
 アブワルダは悔しそうに続けた。
 「殴られ、電気ショックを受けた後、遺体収容袋に押し込まれ、その中で眠るよう強要されたこともあるし、おむつも5日間、取り換えが認められなかったこともある」

 ▽「性的暴行の脅し」報告

 スイス・ジュネーブ拠点の非政府組織(NGO)「欧州地中海人権モニター」は昨年10月の戦闘開始後、イスラエル軍に拘束された経験のあるパレスチナ人について、証言を基にした報告書を発表している。2月公表の報告書では、殴打や犬による攻撃のほか、強制的に裸にさせたり、食事を与えなかったりしていると非難、セクシュアルハラスメントや「性的拷問への脅し」もあったとしている。

パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで避難する人たち=3月4日(ゲッティ=共同)

 拘束経験のある複数のパレスチナ人女性が「イスラエル兵に性器を触られたほか、(イスラム教徒の女性が髪を覆うスカーフ)ヒジャブを取るように強要された」と証言したという。このNGOは「兵士は拘束したパレスチナ人女性に対し、『強姦するぞ』と脅しながら情報を得ようとしている」と非難する。
 アブワルダが解放されたのは今年1月11日。50日間以上の拘束だった。ガザ南部のケレムシャローム検問所で軍用車両から降ろされ、ガザに帰還した。そのまま赤十字関係者により病院に搬送された。

パレスチナ自治区ガザで、戦車に乗ったイスラエル軍兵士=1月(AP=共同)

 ▽「ガザに希望はない」

 イスラエル軍は共同通信の取材に「ガザではテロ活動に関与したと疑われる者は拘束するが、関係ないと判断すれば解放する。拘束者への不当な行動は軍の価値観と一致しない」と回答した。
 だが、国連関係者からもイスラエル軍によるパレスチナ人への拷問を疑う声が相次ぐ。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)パレスチナ事務所のサンガイ代表は、1月にガザ南部を訪問した際に約10人から拷問を受けたとの証言を聞いたとし「国際法はあらゆる形態の拷問を禁止している。イスラエル政府は調査すべきだ」と訴える。

 

 

ガザ地区での戦闘が続く中、パレスチナを国連の正式な加盟国とするよう勧告する決議案が、安全保障理事会で採決にかけられ、理事国15か国のうち日本を含む12か国が賛成しましたが、アメリカが拒否権を行使して否決されました。

パレスチナは現在、国連で加盟国ではない「オブザーバー国家」の地位にありますが、ガザ地区で戦闘が続く中、将来のパレスチナ国家の樹立とイスラエルとの「2国家共存」への道筋をつくるべきだとして、アラブ諸国を代表してアルジェリアが、正式な加盟を勧告する決議案を安保理に提出していました。

国連への加盟が認められるには、安保理で勧告の決議が採択されたうえで、総会で3分の2以上の賛成を得る必要があります。

18日午後、日本時間の19日朝、行われた採決の結果、理事国15か国のうち日本やフランスなど12か国が賛成しましたが、イギリスとスイスが棄権し、アメリカが拒否権を行使して、決議案は否決されました。

賛成した国のうち日本の中東和平担当特使の上村政府代表は、ガザ地区の厳しい状況に言及したうえで「当事者間の平和的な交渉を通じてパレスチナ国家の樹立を促すという観点に立って賛成した」と説明しました。

一方、アメリカのウッド国連次席大使は拒否権を行使した理由について「決議案が想定するパレスチナ国家と不可分なガザ地区で、いまもテロ組織のハマスが権力と影響力を行使している」などと述べ、あくまでもイスラエルとパレスチナの直接交渉による解決が必要だと強調しました。

上村政府代表「平和的な“2国家解決”しか道はない」

 

採決のあと、日本の中東和平担当特使の上村政府代表は記者団に対し、決議案が否決されたことについては「残念なことだが、この問題には時間がかかり、一朝一夕に解決できないということを示していると思う」と述べました。

一方で、「安保理のメンバーはほぼ同じ立場を示している。特に今のガザの厳しい状況をみて、この問題は平和的な『2国家解決』しか道はないという認識が関係国の間でさらに強まったと思う。そのためには当然話し合いが必要で、壊れた信頼関係や相互理解をもとに戻していく必要がある。非常に時間はかかると思うが、国際社会は基本的な共通認識を持っていると思う」と述べ、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」の和平に向けて、各国と連携していく考えを強調しました。

イスラエル・パレスチナ双方の反応は

パレスチナを国連の正式な加盟国とするよう勧告する決議案がアメリカの拒否権で否決されたことについて、イスラエルとパレスチナの双方が反応を出しました。

イスラエルのカッツ外相はハマスによる奇襲攻撃から半年後にパレスチナを国家として認める提案は「テロに見返りを与えることになる」とした上で、「この恥ずべき提案に拒否権を行使したアメリカを称賛する」とSNSに投稿しました。

一方、パレスチナ暫定自治政府はアメリカによる拒否権の行使について「不公平かつ、倫理に反する不当なもので、国際社会の意思にも反するものだ」と非難したうえで、「この攻撃的な拒否権の行使は、『2国家解決』への支持を主張しながら、拒否権の行使によってそれを繰り返し妨害するアメリカの政策の矛盾を露呈している」などと批判しました。

また、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスはSNSへの投稿でアメリカの立場はイスラエルに偏っているとして「最も強いことばで非難する」とした一方で、「賛成したすべての国の立場を高く評価する」と謝意を示しました。

林官房長官 “中東和平の実現へ 総合的に判断し賛成”

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「安全保障理事会が適切な形で意思表示できなかったことは残念だ。わが国はパレスチナが国連加盟に関する要件を満たしているとの認識のもと、中東和平の実現に向けて、和平交渉を通じた国家の樹立を促進するとの観点を含め総合的に判断し、決議案に賛成した」と述べました。

また記者団から、今後パレスチナを国家として承認する考えがあるか問われ「わが国は当事者間の交渉を通じた『2国家解決』を支持し、独立国家樹立に向けたパレスチナの努力を支援してきた。国連加盟に関する安保理決議に賛成したことと、パレスチナを国家として承認することは別個の問題で、わが国の立場に変更はない」と述べました。

 

 

国連職員がハマスに関与との主張で

  • 国連委託の調査、イスラエルの主張に関して結論は出ず-リポート
  • 国連職員が昨年10月7日の襲撃に関与したとの主張巡る調査とは別

 イスラエルは、パレスチナ自治区ガザで人道支援活動に従事する国連機関の職員がテロリストグループと広く結びついていることを示す証拠をまだ示していない。外部調査の結果で明らかになった。

  22日に公表されたリポートによると、国連が委託した同調査では国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に「中立性に関連する問題が根強く残っている」ことが分かった。これには施設が「政治的あるいは軍事的な利益のために悪用された」ケースが含まれるという。しかし調査の発端となったイスラエル側の主張に関しては、結論は出なかった。イスラエルは、救済機関の職員1万2000人のうち最大10%がイスラム組織ハマスや武装組織「イスラム聖戦」のメンバーだったとしている。

  「イスラエルはUNRWA職員の相当数がテロ組織のメンバーだと公に主張した」とフランスのコロナ元外相率いるチームはリポートに記述。「しかし、イスラエルはその裏付けとなる証拠をまだ示していない」と続けた。

  今回の調査は、UNRWA職員数人が昨年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃に関与していたとするイスラエルの主張に関する調査とは別のもの。国連はこの主張を巡り、少なくとも9人のUNRWA職員を解雇した。

Tented Camp For Displaced Palestinians Near The Egyptian Border

ガザ南部のラファに設置された避難民のキャンプ(2024年1月15日撮影)
Photographer: Ahmad Salem/Bloomberg

 

 

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1 コメント

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Unknown (ロハスな人)
2024-04-24 15:57:36
建国以来“民族浄化”を数十年続けてきたシオニスト国家イスラエルは『何が何でもパレスチナを国家として認めない』そうですし、アメリカも同じ姿勢なのだそうです。

『ガザの民衆は人の皮を被った獣』BYイスラエル国防相 >

あなた達(イスラエル閣僚たち)の行いの方が『人の皮を被った獣』に見えてくるのですが…。

https://www.afpbb.com/articles/-/3515878
☆「パレスチナ国連加盟」賛成国に抗議する イスラエル、大使呼び出しへ

【4月21日 AFP】イスラエルは21日、パレスチナの国連加盟に向けた安全保障理事会決議案に賛成した国の駐イスラエル大使を呼び出し、抗議する。

 18日に行われた決議案の採決では、理事国15か国のうち12か国が賛成し、英国とスイスは棄権した。イスラエルの最も緊密な同盟国である米国が唯一、拒否権を行使したため、決議案は否決された。

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