LinuxやUnix環境で作業をしていると、「viエディタ」を使う場面に遭遇することがよくあります。しかし、初めて使う人にとっては「思ったように操作できない」「保存の仕方がわからない」といった壁にぶつかることが多いでしょう。
本記事では、viエディタの基本的な使い方をわかりやすく解説します。viの基本操作をマスターすれば、Linux環境での開発やサーバー管理がスムーズになりますので、ぜひ活用してください。
viエディタとは?
viエディタは、LinuxやUnix環境で標準的に利用できるテキストエディタです。ターミナル上で動作し、軽量で高速なため、サーバー管理やプログラミングの現場で広く使われています。
viはGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を持たず、キーボードだけで操作するのが特徴です。そのため、最初は扱いにくいと感じるかもしれませんが、基本操作を覚えれば非常に効率よくテキスト編集ができます。
🔍 viの主な特徴:
- ほぼすべてのUnix/Linux環境で利用可能
導入されていない環境はほとんどなく、どこでも使える汎用性があります。
- 軽量で高速に動作
低スペックのサーバーや組み込みシステムでもスムーズに動作します。
- キーボード操作のみで編集可能
マウス不要で、素早い操作が可能です。
- 高度なテキスト編集が可能
文字列の検索・置換、バッチ編集、マクロ機能など強力な編集機能を備えています。
viとVimの違い
viには、拡張版である「Vim(Vi IMproved)」というエディタもあります。Vimはviの機能を強化し、より便利にしたものです。
🔍 viとVimの主な違い:
- Vimはシンタックスハイライト(構文色分け)をサポート
- アンドゥ(元に戻す)機能が充実
- プラグイン機能でカスタマイズ可能
ほとんどの環境では、vi
コマンドを実行すると実際にはVimが起動することが多いですが、純粋なviとは若干異なる点に注意が必要です。
viエディタの起動方法
viエディタを使用するには、ターミナル(コマンドライン)から以下のコマンドを実行します。
vi ファイル名
例えば、「sample.txt」というファイルを開く場合は以下のように入力します。
vi sample.txt
このコマンドの動作:
- ファイルが存在する場合 → そのファイルを開いて編集できる。
- ファイルが存在しない場合 → 新しく作成され、編集画面が開く。
viエディタの終了方法
viを起動した後、間違えて開いてしまった場合など、すぐに終了したいときは以下のコマンドを使います。
コマンド | 説明 |
---|---|
:q |
ファイルを保存せずに終了(変更がある場合は終了できない) |
:q! |
変更を破棄して強制終了 |
:wq または ZZ |
保存して終了 |
viは「モード切替」が重要なエディタなので、正しく操作できないときは Esc
キーを押してノーマルモードに戻ってからコマンドを入力してください。
viエディタの基本モード
viエディタには複数のモードがあり、それぞれのモードによって操作方法が異なります。モードの切り替えがviの基本操作の鍵となるため、しっかり覚えておきましょう。
モード | 説明 |
---|---|
ノーマルモード | デフォルトのモード。カーソル移動、コピー・貼り付け、削除などを行う。 |
挿入モード | 文字入力を行うモード。「i」や「a」などのキーで切り替え可能。 |
コマンドモード | ファイルの保存や終了、検索・置換などを行うモード。「:」を入力すると入れる。 |
ノーマルモード
viを起動すると、最初にノーマルモードになっています。このモードでは、以下の操作ができます。
- カーソル移動(
h
左、l
右、j
下、k
上) - コピー&ペースト(
yy
でコピー、p
で貼り付け) - 削除(
x
で文字削除、dd
で行削除)
ノーマルモードに戻るには、いつでも Esc
キーを押してください。
挿入モード
テキストを入力するためのモードです。ノーマルモードの状態で以下のキーを押すと、挿入モードに切り替わります。
コマンド | 動作 |
---|---|
i |
現在のカーソル位置から文字を挿入 |
a |
現在のカーソルの次の位置から文字を挿入 |
o |
現在の行の下に新しい行を追加して挿入開始 |
挿入モードを終了するには、Esc
キーを押してノーマルモードに戻ります。
コマンドモード
ファイルの保存や終了、検索・置換などを行うモードです。ノーマルモードの状態で :
を押すと、画面の下部に :
が表示され、コマンド入力が可能になります。
コマンド | 説明 |
---|---|
:w |
ファイルを保存 |
:q |
viを終了(変更がある場合は終了できない) |
:wq または ZZ |
保存して終了 |
:q! |
変更を破棄して強制終了 |
viをスムーズに操作するためには、ノーマルモードを基本として、必要に応じて挿入モードやコマンドモードに切り替えることが重要です。
テキストの編集方法(挿入モードの使い方)
viエディタでテキストを編集するには、まず挿入モードに切り替える必要があります。
挿入モードに入る
ノーマルモードで以下のキーを押すと、挿入モードに切り替わり、文字入力ができるようになります。
コマンド | 動作 |
---|---|
i |
現在のカーソル位置から文字を挿入 |
a |
現在のカーソルの次の位置から文字を挿入 |
I |
行の先頭に移動して文字を挿入 |
A |
行の末尾に移動して文字を挿入 |
o |
現在の行の下に新しい行を追加して挿入開始 |
O |
現在の行の上に新しい行を追加して挿入開始 |
例:
i
を押す → カーソルのある位置から 文字入力が可能a
を押す → カーソルの右側から 文字入力が可能o
を押す → 次の行を追加して 文字入力が可能
挿入モードを抜ける
挿入モードでの文字入力が完了したら、Esc
キーを押すことでノーマルモードに戻ります。
簡単な編集の流れ
- ファイルを開く(例:
vi sample.txt
) i
を押して挿入モードに入る- テキストを入力する
Esc
を押してノーマルモードに戻る:wq
を入力して保存&終了する
この流れを覚えると、viエディタでの基本的な編集作業がスムーズにできるようになります!
ファイルの保存と終了(コマンドモードの使い方)
viエディタで編集した内容を保存したり、viを終了するにはコマンドモードを使います。
コマンドモードに入る
ノーマルモードの状態で :
を押すと、画面の下部に :
が表示され、コマンドを入力できるようになります。
📌 よく使うコマンド一覧
コマンド | 説明 |
---|---|
:w |
ファイルを保存 |
:q |
viを終了(変更がある場合は終了できない) |
:wq または ZZ |
保存して終了 |
:q! |
変更を破棄して強制終了 |
:w newfile |
新しいファイル名で保存 |
:x |
変更があれば保存して終了(:wq とほぼ同じ) |
コマンドの使い方と動作
1. 編集内容を保存して終了
:wq
または
ZZ
このコマンドを実行すると、変更内容を保存してviを終了します。
2. 保存せずに終了
:q!
変更を破棄して強制的に終了します。誤って編集してしまった場合に便利です。
3. 保存だけする(viは終了しない)
:w
このコマンドを使うと、編集内容を保存したままviを開いた状態にできます。
簡単な保存と終了の流れ
Esc
を押してノーマルモードに戻る:wq
と入力してEnter
を押す(保存して終了)- 保存せずに終了したい場合は
:q!
と入力
これらのコマンドを覚えれば、viでのファイル編集がスムーズに行えます!
ノーマルモードでの基本操作(カーソル移動・削除・コピー)
ノーマルモードでは、カーソルの移動やテキストの削除・コピー・貼り付けができます。viエディタの操作に慣れるためには、まずこの基本操作を覚えましょう。
カーソル移動
viでは、矢印キーの代わりに h, j, k, l
を使ってカーソルを移動します。
キー | 動作 |
---|---|
h |
左に移動 |
l |
右に移動 |
j |
下に移動 |
k |
上に移動 |
✅ その他の移動コマンド
コマンド | 動作 |
---|---|
0 または ^ |
行の先頭へ移動 |
$ |
行の末尾へ移動 |
gg |
ファイルの先頭へ移動 |
G |
ファイルの末尾へ移動 |
5G |
5行目に移動(数字を変えれば任意の行へ) |
文字や行の削除
ノーマルモードでは、以下のコマンドで文字や行を削除できます。
コマンド | 動作 |
---|---|
x |
カーソル上の文字を削除 |
X |
カーソルの左の文字を削除 |
dd |
現在の行を削除 |
d$ |
カーソル位置から行末まで削除 |
d0 |
カーソル位置から行頭まで削除 |
D |
カーソル位置から行末まで削除(d$ と同じ) |
dw |
1単語を削除 |
diw |
カーソル上の単語を削除 |
✅ 複数行を削除したい場合
3dd
→ 3行削除
10dd
→ 10行削除
コピー&ペースト(ヤンクとプット)
viでは、コピーすることを「ヤンク(yank)」、貼り付けることを「プット(put)」と言います。
コマンド | 動作 |
---|---|
yy または Y |
現在の行をコピー(ヤンク) |
3yy |
3行コピー |
p |
コピーした内容をカーソルの次の行に貼り付け |
P |
コピーした内容をカーソルの前の行に貼り付け |
まとめ
viエディタは初めて使うと戸惑うことが多いですが、基本的な操作を覚えればスムーズに編集できます。以下のポイントを押さえておきましょう。
🔹 viエディタの基本操作
vi ファイル名
でファイルを開く- モードを意識して操作する(ノーマルモード・挿入モード・コマンドモード)
Esc
でノーマルモードに戻る
🔹 主要な操作方法
- テキストの編集:
i
やa
で挿入モードに入り、文字を入力 - ファイルの保存と終了:
:wq
で保存&終了、:q!
で強制終了 - カーソル移動:
h, j, k, l
で移動(矢印キーでも可) - 削除:
x
で文字削除、dd
で行削除 - コピー&ペースト:
yy
でコピー、p
で貼り付け
🔹 最低限覚えておきたいコマンド
操作 | コマンド |
---|---|
挿入モードに入る | i (カーソル位置から入力) |
ノーマルモードに戻る | Esc |
保存する | :w |
保存して終了する | :wq または ZZ |
強制終了する | :q! |
1行コピーする | yy |
1行削除する | dd |
貼り付ける | p |
最初は 「i
で入力開始 → Esc
でノーマルモードに戻る → :wq
で保存して終了」 の流れを覚えるだけでも十分です。慣れてきたら、カーソル移動やコピー・削除のショートカットを活用して、より効率的に編集できるようになりましょう!
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