2金融機関と協議をするのに重要な事 2 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ
2 債務者区分のランクアップ
 金融機関にとっては、中小企業のリスケや債権放棄などに応じることで、貸付金の債務者区分について、ランクアップや現状維持できることができれば、それもメリットとなります。

 債務者区分とは
 金融機関は、その貸付先については正常先、要注意先、要管理先、破たん懸念先、破たん先というような債務者区分をしなければなりません。その区分に応じて貸倒引当金の引当を決めます。この区分に基づいて不良債権と分類された債権の金額を対外的に公表しなければなりません。

したがって、債務者区分のランクがダウンすれば、金融機関の会計上の利益は減少します。外部からは「不良債権が多い金融機関」という目で見られることとなります。

 金融機関としては、このようなことはできるだけ避けたいと考えています。金融機関は、貸付先の債務者区分のランクダウンは避けたいと考え、逆に、ランクアップは望ましいと考えてます。

 この債務者区分については、金融庁が、「金融検査マニュアル」により、その考え方を示しています。その「金融検査マニュアル」は、貸付先が、一定の要件を満たす経営改善計画を提出した場合や、DDSをした場合には、現状ランクの維持や「ランクアップ」を認めています。

 中小企業については、「金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]」があり、それが適用されます。

 金融庁は、「金融検査マニュアル」において、貸付先が、一定の要件を満たす経営改善計画を提出した場合や、DDSをした場合に、現状ランクの維持や「ランクアップ」を認めることによって、政策的に、金融機関が中小企業の再生に協力することを後押ししています。

 中小企業からすれば、ランクダウンの回避やランクアップができるような事業再生計画を提案することができれば、金融機関にとってもメリットがあるので、金融機もその提案に応じやすくなります。

資金繰り改善、債権者にもメリットを
アーク司法書士法人
李永鍋(リヨンファ)