5日目、実はこのあたりから、かなり記憶が曖昧になって前後関係があやしい。間違っていたら容赦してほしい。

他の人のブログを読んでも、みな5日目以降曖昧で、よくわからない。

 

 

この日の想定のタイムは17時間。甘くはない。

2700mと2500mの2つの山があり、大体1500mほど登って降りるのを繰り返すようだ。

 

・・・・

寝過ごしたことで、周りには誰もいない。

時間はD5-2:00、出発制限は3:00 なので制限1時間前だ。

 

急いで支度をして、30分で出発する。シューズも替える。

補給食として、エイドのクッキーを大量にジップロックに入れる。

すでに食欲がなく、ハムもチーズも食べられない中で、なぜかこのクッキーだけは最後の最後まで食べられた。

多分トータルで1kgぐらい食べただろう。レース後半で、ほぼ唯一のカロリー源だ。

 

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(にわとりマークのクッキー。程よくしょっぱく美味しい。1日50枚位食べた。)

 

 

D5- 2:32 

Gressoneyライフベースを出る。

 

(いちたくサポート隊が撮ってくれていました)

 

痛い足には変わらないが、2時間以上寝られたこと、そしてスマホがもどったことは精神的にだいぶ良い。

途中のエスプレッソをただで振る舞ってくれている私設エイドがあり、砂糖をトロトロにとかして飲むと更に眠気が消える。

じわじわとした登りを進む。

 

とはいえ、2AM-4AMは睡魔が襲う時間だ。長い登り道が続き、山に入ることに日が登る。

陽の光を浴びると体の中からエネルギーが湧いてくる。偉大だ。


無事に1つ目の山 2700mを登りきり、下っていく。

足裏の痛みの割には快調だ。履き替えた靴は、練習時は同じサイズなのになぜか大きくて中で足が動くので避けていたが、200km走って浮腫んだ足にはちょうどよい。

 

途中間違った小屋に向かってしまうが、5分位のロスですんだ。

しばらくは走れる下りだが、徐々に急斜面となる。

30cm,40cmくらいの段差をジャンプするには足が残っていないので、慎重に足を下ろす。

 

最初のエイドでヨーロッパ人のYさんと会う。

途中何度か抜きつ抜かれつを繰り返していて、なんとなく馴染みになっていた。

 

川沿いの公園のような歩道をずっと歩いていくが寒い。

不思議なトーテムポールが多く立っている。(これが本当にこの区間だったかよく覚えていない。幻覚かもしれない)

 

またYさんに追いつかれ、並走をする。

過去のトレイルレースの経験などを話しながら登る。やはりUTMBは完走していた。

 

ここから登りが1200mも続くのだ。

登りはかなり早いが、一生懸命ついていく。一人だとダレてペースダウンしそうだったので、ちょうどよい。

 

しかし暑さがまた増して、ジリジリと肌を焼いてくる。

トレイルに入るところで、Tシャツに着替えて、足裏も少しマッサージするために先に行ってもらう。

 

ここの登りは、本当に暑すぎた。

樹林帯を抜けると、カンカン照りに焼かれる。水場もない。

 

途中、脱水症状気味になり、立ち止まる。

日焼け止めがないことが悔やまれる。

 

次の小屋はどこにあるのか、わからない。

透き通るような青い空、なだらかな丘陵。草色に燃える木々。いつまでも緩やかに長く繋がるトレイル。

 


(いつもあの稜線がピークと信じるが、一向に終わらない)



もう少し気候と体調が良ければ最高のハイキングコースなのだろうが、さすがに200KM以上歩いた足と体には、むしろ急登の方が気が紛れてよい。

 

呆然としながらも一呼吸つき、息を整えてから、また一歩一歩すすめる。

 

このあたりになってくると時間の間隔がおかしくなってきて、

「どこが次の小屋かわからないが、まぁ。あと1時間歩くか」

と諦めたような感じになる。

 

Rifugio Grand Tournalin(230km,2535m)の小屋につく。





小綺麗で長居したくなる。明らかに熱中症になっているので、小屋で中休止をする。

 




Col Bruson(2508m)にたどり着き、あとはライフベースまで600m下る。

 

 

D5 - 14:32 日が紅くなり始めるタイミングで、ライフベースCretaz(239km)につく。

17時間予定のところ12時間でつけた。

 

ライフベースを出たときは制限時間も30分とギリギリだったが、おかげで休めたことで全体的にペースが上がり、一気に6時間と増えて、少しリラックスする。

 

体育館でシャワーを浴びて、マッサージ(1時間と聞いたら、結局2時間まち)を受けて、仮眠をする。

橋爪さんが来てくれて1時間で起こしてもらうことをお願いする。

うとうとと眠りに落ちて40分ほど寝る。

 

(いちたく隊が撮っていました。)

 

 

食事の場所では、あえなくリタイヤした人が応援に来ていた。やはり4日目は鬼門だったようだ。

手作りのおにぎりと肉を一切れ頂いてパワーがつく。

 

正直まだ休めた感じはしなかったが、制限時間が怖かったのと、日が沈む前に少しでも動いておきたかったので出てしまった。

 

なんだかんだでエイドに5時間もいた。40分しか寝ていないにもかかわらず、なぜこんなに掛かってしまうのか。

マッサージにこだわりすぎたのもあるし、食事なども明らかに効率が悪い。

 

こういったロスは後々響く。

そして、このあと最後の偶数日 6日目に入る。睡魔と痛みとの戦いが激しさを増す。

(続く)