言いつけ | ★★片想い10年ロック★★

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ハッピー片想いは片想いをたしなむための作法です。

 

フィクションです。

 

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私は親の言いつけを守る

まじめな良い子だった。

 

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「結婚なんてしないで

 アイジンになりなさい」

 

アイジンとは何か

わからない年齢の頃から

 

なにかにつけて母親に

そう言われながら育った。

 

大人になった。

 

アイジンになった。

 

親の言いつけを

まじめに守っていた。

 

けれど大人になったら

母親はそんな私を

全否定した。

 

「そんなことするために

 育てたんじゃない」

 

意味がわからなかった。

 

私は親の言いつけを

まじめに守っただけだった。

 

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母親は同時に姉には

まったく逆のことを

 

言っていたこと

大人になってから知る。

 

「結婚しなかったら

 生きていけないから

 絶対に結婚しなさい」

 

姉もまた親の言いつけを

まじめに守る子どもだった。

 

母親の言いつけを守って

姉は結婚しようとしてた。

 

婚約相手の両親から

全否定されて罵られて

蔑まれて見下されても

 

結婚しないと生きては

いけないと言われて

育った姉は我慢した。

 

そして心身共に壊れて

寝たきりになった。

 

婚約相手の両親から

寝たきりの嫁は要らないと

破談になった。

 

結婚の話がなくなったら

姉は動けるようになった。

 

心身共に健康になって

明るくなった姉に

母親が言った。

 

「結婚もしないで

 この先どうやって

 生きていくつもりなの?」

 

意味がわからなかった。

 

親の言いつけを守るため

寝たきりにまでなったのに。

 

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その後もっと

恐ろしいことを知る。

 

アイジンだった私の

相手の人に母親は

 

「嫁入り前の娘を

 傷ものにされた」と

手切れ金を要求していた。

 

破談になった姉の

相手の人にも

慰謝料を要求していた。

 

まったく逆のことを

呪文のように聞かせて

育てた姉妹の末路で

 

母親は同じことを

しようとしていた。

 

母親にとって

私たち娘は

 

他人にお金を

要求するための

きっかけ作りだった。

 

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ワタシは

ワタシたちは

 

親の言いつけを守る

まじめな良い子だった。