「タイに見た希望、アジアに感じた鼓動──中国・日本・タイのいま、そして未来」 | 日本文化、世界の歴史・健康・ミライにチャレンジ
2025-03-23 10:04:13

「タイに見た希望、アジアに感じた鼓動──中国・日本・タイのいま、そして未来」

テーマ:色の言の葉


皆様こんにちはいかがお過ごしでしょうか。私は毎日暑さに耐え取材しています。タイに来てからホッとする暇もなく変わりつつある現状を受け取りきれずにいます。



先日の大規模な詐欺グループの摘発以降、中国人旅行者の姿はタイ国内でほとんど見かけなくなりました。一方で、マレーシアやベトナム、インドネシアなど近隣の東南アジア諸国からの観光客は目立っており、ローカルなビーチエリアでも多言語が飛び交い、活気が戻ってきているのを感じます。

滞在中に出会った日本人旅行者は、わずか3人だけ。円安の影響や国内志向の高まりもあるのでしょうか、かつてにぎわっていた観光地の日本人の姿は控えめで、どこか“静かなアジア旅”の趣がありました。

それでも、ジョムティエンビーチの大型ホテルには地元のタイ人ファミリーが多数訪れ、にぎやかに過ごす様子から、タイの景気回復と国内需要の力強さが感じられました。人々の笑顔や、家族で過ごす休日の風景が、社会に少しずつ日常が戻りつつあることを象徴しているようでした。




タイの底力と、日本の現状

旅のなかで改めて感じたのは、タイの柔軟さと、変化を前向きに受け入れる力です。若い世代を中心にデジタル決済が広く普及し、起業やローカルビジネスも活気づいています。コロナ禍を乗り越えた今、タイはASEAN地域のハブとしての存在感を高め、しなやかに成長しているように見えました。

一方、日本は少子高齢化、円安、労働力不足といった課題が重なり、変化へのスピードが鈍化している印象もあります。「失敗できない社会」の空気が、新しい挑戦を難しくしているのかもしれません。

もちろん、日本には技術力、文化、信頼のある社会システムといった揺るがない強みがあります。けれども、未来に向けて再び“風通しの良い社会”にしていくには、外からの刺激と柔軟な思考が必要だと感じさせられました。




中国・日本・タイ──それぞれの現在地と未来

旅の視点から見えた、3か国の経済の「いま」と「これから」を、簡単に振り返ってみます。

■ 中国経済:巨大なエンジンの調整期

かつての爆発的成長から、現在は不動産バブル崩壊や若年層の失業率増加など、構造的な課題に直面しています。AIやEVなどの先端分野に舵を切る一方で、国家の統制強化により、海外投資家の動きは慎重に。旅行先としての魅力にも、影が差しているようです。

■ 日本経済:成熟と停滞のはざまで

豊かさの蓄積はあるものの、人口減少と内需の縮小が進行中。円安で恩恵を受ける企業もありますが、一般消費者の実感としては「経済がよくなっている」とは言いにくい現状。観光や介護、地方でのテクノロジー活用が、再生のカギになるかもしれません。

■ タイ経済:しなやかな回復と内需の力

観光業の復活に加え、国内ファミリー層の消費や地元主導のスタートアップが経済を下支え。ASEANの物流・技術・農業の要として、地に足のついた成長を続けています。景気の数字以上に「人の活気」が未来への希望を感じさせる国です。




アジアの鼓動は一様ではない

この旅を通して改めて思ったのは、「経済成長=幸福」ではないということ。

数字に表れない部分、人の笑顔、変化を恐れない姿勢、未来への希望を語るまなざしこそが、その国のエネルギーなのかもしれません。

これからの世界は、経済的な強さだけでなく、「柔軟に変わり続ける力」や「人を信じられる社会」が、真の豊かさをつくっていくのだと感じました。