4K「さらば宇宙戦艦ヤマト」終映間近 | 次世代に遺したい自然や史跡

次世代に遺したい自然や史跡

毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<白色彗星との攻防がスクリーンに蘇る>

先月、40年ぶりに映画の前売り券を購入し、先週2回、香川県綾川町のイオンシネマ綾川(四国では唯一の上映館)まで観に行った。その映画は4Kリマスター版特別上映「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち~」(1/25まで・各種割引無)。

 

ヤマトは中高年者ならご存知のように、メカニックアニメの元祖的作品で、一大ブームを巻き起こし、劇場版2作目となる「さらば・・・」は、劇場アニメの興収記録(43億円)を叩き出し、平成元年、「魔女の宅急便」が公開されるまで、記録が破られることはなかった。カリオストロの城やナウシカでも敵わなかった偉業である。

そんなヤマトだが、テレビシリーズ一作目の視聴率は芳しくなく、本来、39話放送予定のところ、全26話で終了した。私も当時、裏番組(都会での放送時間帯とは違うかも)の「猿の軍団」を見ていた。

 

猿の軍団は「猿の惑星」の真似師だから、ストーリーの想像はある程度つく。それに対し、ヤマトは主人公が人でもロボットでもない無機質な宇宙戦艦という前例のないケース。あらゆる面で想像がつかない。

しかしヤマトの版権元は作品に絶対的な自信を持っており、全国のテレビ局に再放送のプロモーションをかけ、それが功を奏し、じわじわと人気が出てくる。

再放送の視聴率が20%を超える等、人気が最高潮になると満を持して劇場版が’77年、公開される。テレビシリーズ放送終了後、2年が経過していた。

 

テレビシリーズの総集編的映画だったにも拘わらず、都心の映画館には行列ができ、興収も21億円になり、ヤマトブームが到来する。スーパーカー消しゴム同様、ヤマト消しゴムも発売され、人気だった。

そして翌年、「さらば・・・」が公開されると、ヤマトは社会現象化するほど、人気はヒートアップした。

「さらば・・・」が成功した要因は、白色彗星の圧倒的スケール感は言うに及ばず、一番は監督がアニメ畑ではなく、実写映画の舛田利男監督だった点だろう。

 

舛田監督は複数の戦争映画も撮っていたから、戦闘シーンは面白い。当然ヤマトに「戦艦大和」のイメージを重ねたはず。大和は沖縄特攻作戦に参加する途次、撃沈された。沖縄の浜辺に乗り上げ、砲台となり、米軍を迎え撃つ、無謀な作戦だった。

舛田監督は「さらば・・・」でもヤマトを特攻させようとしたのではないだろうか。だから主要乗組員の大半は戦死し、最後、ヤマトは敵の超巨大戦艦に、テレサと共に向かって行き、体当たりした。

 

子供の頃、テレビのロードショーで「さらば・・・」を見た時、ヤマトのようなちっぽけな宇宙戦艦がガトランティスの巨大戦艦に体当たりしても、ビクともしないのでは、と思っていたが、巨大戦艦を倒したのは、ヤマトと一緒に体当たりしたテレサの特性、反物質の威力だろう。反物質は少し触れただけで大爆発を起こす。しかしなぜテレサは裸?服が物質だからか。

余談だが、作品の中で地球は宇宙のリーダーだと語られていた。しかしこれは認識不足も甚だしい。光の速度より早い宇宙船を建造する技術すら持たない地球の文明は、UFOを保有する惑星と比べると科学は何万年も遅れている。

 

だから、以前述べたように宇宙人は地球を征服しようとは思わない。人間がチンパンジーを滅ぼそうとしないように。

と、いうことで昭和のアニメファンは是非、入場特典付きの「さらば・・・」を観に行かれたい。

有給休暇を取ってでも観に行きたい、という方は下のバナーを是非。